<モードゥナ レヴナンツトール>
アリゼー
「さてと……こんな場所で突っ立ってても仕方ないわね。
「石の家」に入って、アルフィノたちの帰りを待ちましょう?」
楓
「それもそうだね……行こうか!」
楓はアリゼーとユウギリの後について「石の家」へと向かう。
<レヴナンツトール 石の家>
ヤ・シュトラ
「お帰りなさい。
どうやら会合は無事に終わったみたいね。
ところで、アルフィノたちの姿が見えないようだけれど……。」
石の家にはヤ・シュトラ、サンクレッドとクルルがおり、楓達を迎えた。
ガチャ……。
酒場から石の家へと入る、出入り口の扉が開かれる音がする。
その場にいた者はそちらへ目を向けると、話題の人物であるアルフィノ、パパリモ、イダが戻ってきた。
アルフィノ
「すまない、待たせてしまったかな?」
イダ
「たっだいまー! あっ、クルル!
ナーゴの様子はどう?」
クルル
「安心して、今は別室で眠っているわ。
タタルさんが見ていてくれるから大丈夫よ。」
ヤ・シュトラ
「私も様子を見てきたけど、傷口も塞がったようだし、後は安静にしておけば快復するはずよ。」
イダ
「よかった……。」
ひどい傷を負ったナーゴの安否を確認できたイダは胸を撫で下ろす。
ヤ・シュトラ
「それで……会合の方はどうだったのかしら?」
アリゼー
「イシュガルドをはじめとする各国が、援軍を黒衣森に派遣することになったわ。
エオルゼア同盟軍が戦力を集結させて、有事に備えるってわけ。」
イダ
「でもさ、エオルゼア同盟軍が勢揃いするなら、鉄仮面の計画に乗っかって、帝国軍を攻めちゃえばいいじゃん。
アラミゴ側とグリダニア側から、挟み撃ちにできちゃうよ!」
イダの案を聞いたパパリモが呆れながら口を挟む。
パパリモ
「まったく……考えなしの発言はやめてくれ。
強大な帝国との戦争が、そんなに軽々しく始められるものか。」
アルフィノ
「あぁ、入念な準備もなく、帝国と事を構えるのは得策ではない。
どうにかして鉄仮面たちに、作戦を思いとどまらせることが、できれば良いのだが……。」
パパリモ
「それについては、方法がないわけじゃない……。
バエサルの長城の地下には、アラミゴ解放軍の闘士たちが掘り抜いた坑道があるんだ。
亡命希望者を逃がしたりするためのね……。」
ヤ・シュトラ
「……つまり、そのルートで何人かをアラミゴ側に送り込んで、鉄仮面と接触、計画を思いとどまるような説得するということ?」
ヤ・シュトラの解釈にうなずくパパリモ。
パパリモ
「そのとおり。
もし賛同が得られるのなら、僕が行ってくるよ。
道にも明るいし、アラミゴ解放軍にも接点があるからね。」
イダ
「ちょっと、抜け駆けするつもり?
そーゆーことなら、アタシも行くからね。
第一、解放軍にツテがあるのは、アタシなんだから!」
ユウギリ
「……敵地への潜入任務となれば、忍びの技も役立つだろう。
その任、私も参加させてもらいたい……。」
サンクレッド
「よし、俺も同行させてもらおう。
久しぶりにユウギリ殿と共闘するのも悪くない。」
ヤ・シュトラ
「どうやら話は決まったようね……。
そうとなれば、私とクルルは別の任務に向かうわ。
アルフィノ、あなたたちはどうするつもり?」
アルフィノ
「私は有事に備えて、東部森林で待機するつもりだ。
楓、君も来てくれると助かる。
アリゼーは、悪いが「石の家」に残って連絡役を頼みたい。」
楓
「うん、わかった!」
アリゼー
「ひとり留守番だなんてね……。
まぁ、いいわ。 誰かがやらなきゃいけない役回りだもの。」
じっとしている事が苦手であるアリゼーは、ひとりで「石の家」に残ることに表情曇らせる。
アリゼー
「……みんな、気をつけてね。」
楓
「うん……行ってくる!」
アルフィノ
「準備はいいかい、楓。
ひとまずは東部森林の「ホウソーン家の山塞」に行こう。
彼の地には、双蛇党の拠点があるからね。
そこで同盟軍の動向を確認してから、バエサルの長城が望める場所に向かうとしよう。」
バエサルの長城に最も近く、同盟軍が一度集結する拠点になるであろう「ホウソーンの山塞」へと向かう楓とアルフィノ。
<東部森林 ホウソーンの山塞>
一足先に到着していたアルフィノ。
彼の姿を見つけ、楓は声をかける。
アルフィノ
「少しばかり先に着いたから、双蛇党の士官たちに話を聞いておいたよ。
どうやら同盟軍の将校が、アマリセ監視哨に集まっているらしい。
あの監視哨は、帝国軍の拠点を臨む場所にある。
バエサルの長城を監視するためにも、好都合なのだろう。」
そこへ、アラミゴ側へと潜入する予定のサンクレッドたちがやってきた。
サンクレッド
「楓、アルフィノ、ここにいたか……。
俺たちは、そろそろ出発しようと思う。」
アルフィノ
「あぁ、手練れ揃いだから心配はしてないが、それでも、ギラバニアは帝国の支配下にある敵地だ。
くれぐれも気を付けてくれよ。」
イダ
「任せといてよね!
鉄仮面の首根っこひっ捕まえてやるんだから!」
すぐに調子に乗るイダに、呆れながら本来の目的を説明するパパリモ。
パパリモ
「やれやれ……鉄仮面と共闘しようと言い出したかと思えば、今度は、引っ捕まえるときたか……少しは考えて発言してくれよ。
僕たちの使命は、説得交渉なんだ。」
イダ
「わかってるって。
難しいことはパパリモに任せるからさ!」
まったく理解するつもりのないイダに、がっくりと肩を落とすパパリモ。
パパリモ
「……まったく、頭が痛くなってきたよ。
それじゃ、行ってくる……。」
パパリモ達は別れを告げ、潜入するためにバエサルの長城へと向かい歩きだす。
アルフィノ
「イダとパパリモは、相変わらずといった感じだな。
さあ、我々も出発しようか……。
「アマリセ監視哨」にいる双蛇党の斥候に状況を確認しよう。」
楓
「じゃあ、早速私たちも出発しようか!」
楓とアルフィノはホウソーンの山塞からさらに東に位置する「アマリセ監視哨」へと出発した。
<東部森林 アマリセ監視哨>
双蛇党の斥候
「「暁の血盟」の方々ですね?
ちょうど、ここアマルセ監視哨にて、同盟参加国の将校たちが集まることになっております。
関係者全員がそろい次第、会合が開かれる手はずになっておりますので、ぜひ、出席なさってください。」
楓
「まだ揃ってないみたいだね……将校って誰がくるんだろ?
ここで待たせてもらおっか、アルフィノ君!」
アルフィノは楓に頷き、監視哨の中へと進む。
日が落ち、辺りを暗闇がつつみ始めたころ、見知った顔の人物が姿を現した。
ピピン
「よく来てくれた、ご両人。」
ヒルダ
「誰かと思えば、楓じゃないか。
イシュガルドからは、アタシたちの部隊が、出張ってきてるよ。」
楓
「ピピンさんとヒルダちゃん!
イシュガルドの自警団のみんなも来てるんだね!?」
ル・アシャ大甲佐
「この面子がそろうのも、四国合同演習のとき以来だね。
こうして、同じ戦列に立てるなんて、光栄だよ!」
楓
「これで四国が揃ったんだね♪」
アルフィノ
「各都市の精鋭が集まっているようで、心強い。
それで……「長城」に動きは?」
ボルセル大牙佐
「今のところは、いつもの様子と変わりはないようだが……。」
すると長城の方から爆発音とも取れる轟音と共に火の手があがります。
すぐに見張りの者とリンクシェルで連絡を取るボルセル。
ボルセル大牙佐
「配下の観測班より報告!
長城にて、戦闘が発生している模様……!」
楓
「遅かった……!!?」
ピピン
「やはり、鉄仮面が動いたかッ!」
ボルセル大牙佐
「そ、それが……。」
ヒルダ
「どういうことだい?
懸念があるなら、ハッキリ伝えておくれよ!」
ボルセル大牙佐
「こ、攻撃部隊が、各国のグランドカンパニーの制服を着用しているとの報告が……。」
ル・アシャ大甲佐
「そんな……あたしたちの舞台は、動いてなんかないよ!」
アルフィノ
「やられた! 鉄仮面の狙いはこれか!
各国のグランドカンパニーを装って、攻撃することこそが目的!
長城の奪取など、最初から計算外なんだ!」
ボルセル大牙佐
「そ、そうか……帝国軍からすれば、我らエオルゼア同盟軍が侵攻してしたきたように見える。
そうなれば、戦火は確実に……!」
楓
「まったくはた迷惑な作戦だこと……。」
アルフィノ
「それすらもオトリの可能性が高い。
エオルゼア同盟軍と帝国軍をやりあわせて隙を作り、自分たちは後背のアラミゴへと向かう……。
そして、都市部で虐げられている民衆を煽り、反乱を起こさせれば、絶対的な兵力不足を補えるはずだ。
このままでは、同盟軍は体よく利用されるだけだぞ!
楓、今すぐ「バエサルの長城」に向かおう。」
楓はアルフィノに頷いてみせる。
ピピン
「そんな無謀な!」
アルフィノ
「鉄仮面の作戦を阻止しようと、仲間の潜入部隊が、長城に向かっているのです。
彼らを救い出す必要がある!
危険は承知の上……奇襲を受けて帝国軍が混乱している今なら、割って入ることもできましょう。
あわよくば、鉄仮面に兵を退かせることも……。」
ピピンは瞬時に敵地真っ只中へと突入しようとする、アルフィノ達を援助する手を思案する……。
ピピン
「クッ……。
ヒルダ殿、脱出用の飛空艇の用意をお願いしても?」
ヒルダ
「任せな!
イシュガルドで一番速い飛空挺を用意するよ!」
ル・アシャ大甲佐
「それじゃ、あたしたちは帝国の動きに備える!
みんな、死ぬんじゃないよ!」
楓
「うん、みんなありがとう! 行ってくる……!」
<バエサルの長城>
鉄仮面の先制攻撃による、バエサルの長城で突如として始まった戦い。
燃え盛る炎の中に、魔導兵器の残骸が横たわる。
その間を、エオルゼア同盟軍の制服を着た鉄仮面の同志たちが、駆け抜けていく。
その偽軍隊の間を、悠然と深部へと歩みを進める鉄仮面の姿。
鉄仮面
「いけ、アラミゴを救う勇士たちよ!
我らの一撃により、惰眠を貪るエオルゼアの民を目覚めさせ、悪しき帝国軍を、故郷より放逐する足掛かりとするのだ!
この一戦の勝利こそが、アラミゴの明日へと通ずると知れ!
俺は必ずアラミゴを取り戻してみせる……どんな手を使ってもな!」
<東部森林 アラミゴ国境付近>
楓
「あそこに斥候さんがいるよ。 アルフィノ君、いこう!」
双蛇党の斥候
「ピピン少闘将からの命により、みなさんの突入を支援するため、陽動を担当させていただきます。
クリスタルの導きがあらんことを!」
アルフィノ
「パパリモからの情報によれば、この先の獣道を使えば、「バエサルの長城」に接近できるようだ。
楓、ここからは二手に分かれよう。
私は帝国軍の防衛網を突破して、最短距離で長城に接近……。
秘密坑道に入って、パパリモたち潜入部隊を呼び戻しにいく。
君は、少数の手勢を率いて「バエサルの長城」に取り付いて、その頂きを目指してもらいたい。
何としても鉄仮面に、部隊を引きあげさせるんだ。」
楓
「わかった……!」
アルフィノ
「私は、潜入部隊と合流した後、すぐに君たちの後を追う。
ヒルダたちに連絡をつけて、脱出路も確保しておくつもりだ。
ここからは、迅速な行動が物を言う……頼んだぞ!」
楓
「アルフィノ君、気を付けてね!」
アルフィノは秘密坑道へ、楓はバエサルの長城へと向かった。
次回へ続く……。
アリゼー
「さてと……こんな場所で突っ立ってても仕方ないわね。
「石の家」に入って、アルフィノたちの帰りを待ちましょう?」
楓
「それもそうだね……行こうか!」
楓はアリゼーとユウギリの後について「石の家」へと向かう。
<レヴナンツトール 石の家>
ヤ・シュトラ
「お帰りなさい。
どうやら会合は無事に終わったみたいね。
ところで、アルフィノたちの姿が見えないようだけれど……。」
石の家にはヤ・シュトラ、サンクレッドとクルルがおり、楓達を迎えた。
ガチャ……。
酒場から石の家へと入る、出入り口の扉が開かれる音がする。
その場にいた者はそちらへ目を向けると、話題の人物であるアルフィノ、パパリモ、イダが戻ってきた。
アルフィノ
「すまない、待たせてしまったかな?」
イダ
「たっだいまー! あっ、クルル!
ナーゴの様子はどう?」
クルル
「安心して、今は別室で眠っているわ。
タタルさんが見ていてくれるから大丈夫よ。」
ヤ・シュトラ
「私も様子を見てきたけど、傷口も塞がったようだし、後は安静にしておけば快復するはずよ。」
イダ
「よかった……。」
ひどい傷を負ったナーゴの安否を確認できたイダは胸を撫で下ろす。
ヤ・シュトラ
「それで……会合の方はどうだったのかしら?」
アリゼー
「イシュガルドをはじめとする各国が、援軍を黒衣森に派遣することになったわ。
エオルゼア同盟軍が戦力を集結させて、有事に備えるってわけ。」
イダ
「でもさ、エオルゼア同盟軍が勢揃いするなら、鉄仮面の計画に乗っかって、帝国軍を攻めちゃえばいいじゃん。
アラミゴ側とグリダニア側から、挟み撃ちにできちゃうよ!」
イダの案を聞いたパパリモが呆れながら口を挟む。
パパリモ
「まったく……考えなしの発言はやめてくれ。
強大な帝国との戦争が、そんなに軽々しく始められるものか。」
アルフィノ
「あぁ、入念な準備もなく、帝国と事を構えるのは得策ではない。
どうにかして鉄仮面たちに、作戦を思いとどまらせることが、できれば良いのだが……。」
パパリモ
「それについては、方法がないわけじゃない……。
バエサルの長城の地下には、アラミゴ解放軍の闘士たちが掘り抜いた坑道があるんだ。
亡命希望者を逃がしたりするためのね……。」
ヤ・シュトラ
「……つまり、そのルートで何人かをアラミゴ側に送り込んで、鉄仮面と接触、計画を思いとどまるような説得するということ?」
ヤ・シュトラの解釈にうなずくパパリモ。
パパリモ
「そのとおり。
もし賛同が得られるのなら、僕が行ってくるよ。
道にも明るいし、アラミゴ解放軍にも接点があるからね。」
イダ
「ちょっと、抜け駆けするつもり?
そーゆーことなら、アタシも行くからね。
第一、解放軍にツテがあるのは、アタシなんだから!」
ユウギリ
「……敵地への潜入任務となれば、忍びの技も役立つだろう。
その任、私も参加させてもらいたい……。」
サンクレッド
「よし、俺も同行させてもらおう。
久しぶりにユウギリ殿と共闘するのも悪くない。」
ヤ・シュトラ
「どうやら話は決まったようね……。
そうとなれば、私とクルルは別の任務に向かうわ。
アルフィノ、あなたたちはどうするつもり?」
アルフィノ
「私は有事に備えて、東部森林で待機するつもりだ。
楓、君も来てくれると助かる。
アリゼーは、悪いが「石の家」に残って連絡役を頼みたい。」
楓
「うん、わかった!」
アリゼー
「ひとり留守番だなんてね……。
まぁ、いいわ。 誰かがやらなきゃいけない役回りだもの。」
じっとしている事が苦手であるアリゼーは、ひとりで「石の家」に残ることに表情曇らせる。
アリゼー
「……みんな、気をつけてね。」
楓
「うん……行ってくる!」
アルフィノ
「準備はいいかい、楓。
ひとまずは東部森林の「ホウソーン家の山塞」に行こう。
彼の地には、双蛇党の拠点があるからね。
そこで同盟軍の動向を確認してから、バエサルの長城が望める場所に向かうとしよう。」
バエサルの長城に最も近く、同盟軍が一度集結する拠点になるであろう「ホウソーンの山塞」へと向かう楓とアルフィノ。
<東部森林 ホウソーンの山塞>
一足先に到着していたアルフィノ。
彼の姿を見つけ、楓は声をかける。
アルフィノ
「少しばかり先に着いたから、双蛇党の士官たちに話を聞いておいたよ。
どうやら同盟軍の将校が、アマリセ監視哨に集まっているらしい。
あの監視哨は、帝国軍の拠点を臨む場所にある。
バエサルの長城を監視するためにも、好都合なのだろう。」
そこへ、アラミゴ側へと潜入する予定のサンクレッドたちがやってきた。
サンクレッド
「楓、アルフィノ、ここにいたか……。
俺たちは、そろそろ出発しようと思う。」
アルフィノ
「あぁ、手練れ揃いだから心配はしてないが、それでも、ギラバニアは帝国の支配下にある敵地だ。
くれぐれも気を付けてくれよ。」
イダ
「任せといてよね!
鉄仮面の首根っこひっ捕まえてやるんだから!」
すぐに調子に乗るイダに、呆れながら本来の目的を説明するパパリモ。
パパリモ
「やれやれ……鉄仮面と共闘しようと言い出したかと思えば、今度は、引っ捕まえるときたか……少しは考えて発言してくれよ。
僕たちの使命は、説得交渉なんだ。」
イダ
「わかってるって。
難しいことはパパリモに任せるからさ!」
まったく理解するつもりのないイダに、がっくりと肩を落とすパパリモ。
パパリモ
「……まったく、頭が痛くなってきたよ。
それじゃ、行ってくる……。」
パパリモ達は別れを告げ、潜入するためにバエサルの長城へと向かい歩きだす。
アルフィノ
「イダとパパリモは、相変わらずといった感じだな。
さあ、我々も出発しようか……。
「アマリセ監視哨」にいる双蛇党の斥候に状況を確認しよう。」
楓
「じゃあ、早速私たちも出発しようか!」
楓とアルフィノはホウソーンの山塞からさらに東に位置する「アマリセ監視哨」へと出発した。
<東部森林 アマリセ監視哨>
双蛇党の斥候
「「暁の血盟」の方々ですね?
ちょうど、ここアマルセ監視哨にて、同盟参加国の将校たちが集まることになっております。
関係者全員がそろい次第、会合が開かれる手はずになっておりますので、ぜひ、出席なさってください。」
楓
「まだ揃ってないみたいだね……将校って誰がくるんだろ?
ここで待たせてもらおっか、アルフィノ君!」
アルフィノは楓に頷き、監視哨の中へと進む。
日が落ち、辺りを暗闇がつつみ始めたころ、見知った顔の人物が姿を現した。
ピピン
「よく来てくれた、ご両人。」
ヒルダ
「誰かと思えば、楓じゃないか。
イシュガルドからは、アタシたちの部隊が、出張ってきてるよ。」
楓
「ピピンさんとヒルダちゃん!
イシュガルドの自警団のみんなも来てるんだね!?」
ル・アシャ大甲佐
「この面子がそろうのも、四国合同演習のとき以来だね。
こうして、同じ戦列に立てるなんて、光栄だよ!」
楓
「これで四国が揃ったんだね♪」
アルフィノ
「各都市の精鋭が集まっているようで、心強い。
それで……「長城」に動きは?」
ボルセル大牙佐
「今のところは、いつもの様子と変わりはないようだが……。」
すると長城の方から爆発音とも取れる轟音と共に火の手があがります。
すぐに見張りの者とリンクシェルで連絡を取るボルセル。
ボルセル大牙佐
「配下の観測班より報告!
長城にて、戦闘が発生している模様……!」
楓
「遅かった……!!?」
ピピン
「やはり、鉄仮面が動いたかッ!」
ボルセル大牙佐
「そ、それが……。」
ヒルダ
「どういうことだい?
懸念があるなら、ハッキリ伝えておくれよ!」
ボルセル大牙佐
「こ、攻撃部隊が、各国のグランドカンパニーの制服を着用しているとの報告が……。」
ル・アシャ大甲佐
「そんな……あたしたちの舞台は、動いてなんかないよ!」
アルフィノ
「やられた! 鉄仮面の狙いはこれか!
各国のグランドカンパニーを装って、攻撃することこそが目的!
長城の奪取など、最初から計算外なんだ!」
ボルセル大牙佐
「そ、そうか……帝国軍からすれば、我らエオルゼア同盟軍が侵攻してしたきたように見える。
そうなれば、戦火は確実に……!」
楓
「まったくはた迷惑な作戦だこと……。」
アルフィノ
「それすらもオトリの可能性が高い。
エオルゼア同盟軍と帝国軍をやりあわせて隙を作り、自分たちは後背のアラミゴへと向かう……。
そして、都市部で虐げられている民衆を煽り、反乱を起こさせれば、絶対的な兵力不足を補えるはずだ。
このままでは、同盟軍は体よく利用されるだけだぞ!
楓、今すぐ「バエサルの長城」に向かおう。」
楓はアルフィノに頷いてみせる。
ピピン
「そんな無謀な!」
アルフィノ
「鉄仮面の作戦を阻止しようと、仲間の潜入部隊が、長城に向かっているのです。
彼らを救い出す必要がある!
危険は承知の上……奇襲を受けて帝国軍が混乱している今なら、割って入ることもできましょう。
あわよくば、鉄仮面に兵を退かせることも……。」
ピピンは瞬時に敵地真っ只中へと突入しようとする、アルフィノ達を援助する手を思案する……。
ピピン
「クッ……。
ヒルダ殿、脱出用の飛空艇の用意をお願いしても?」
ヒルダ
「任せな!
イシュガルドで一番速い飛空挺を用意するよ!」
ル・アシャ大甲佐
「それじゃ、あたしたちは帝国の動きに備える!
みんな、死ぬんじゃないよ!」
楓
「うん、みんなありがとう! 行ってくる……!」
<バエサルの長城>
鉄仮面の先制攻撃による、バエサルの長城で突如として始まった戦い。
燃え盛る炎の中に、魔導兵器の残骸が横たわる。
その間を、エオルゼア同盟軍の制服を着た鉄仮面の同志たちが、駆け抜けていく。
その偽軍隊の間を、悠然と深部へと歩みを進める鉄仮面の姿。
鉄仮面
「いけ、アラミゴを救う勇士たちよ!
我らの一撃により、惰眠を貪るエオルゼアの民を目覚めさせ、悪しき帝国軍を、故郷より放逐する足掛かりとするのだ!
この一戦の勝利こそが、アラミゴの明日へと通ずると知れ!
俺は必ずアラミゴを取り戻してみせる……どんな手を使ってもな!」
<東部森林 アラミゴ国境付近>
楓
「あそこに斥候さんがいるよ。 アルフィノ君、いこう!」
双蛇党の斥候
「ピピン少闘将からの命により、みなさんの突入を支援するため、陽動を担当させていただきます。
クリスタルの導きがあらんことを!」
アルフィノ
「パパリモからの情報によれば、この先の獣道を使えば、「バエサルの長城」に接近できるようだ。
楓、ここからは二手に分かれよう。
私は帝国軍の防衛網を突破して、最短距離で長城に接近……。
秘密坑道に入って、パパリモたち潜入部隊を呼び戻しにいく。
君は、少数の手勢を率いて「バエサルの長城」に取り付いて、その頂きを目指してもらいたい。
何としても鉄仮面に、部隊を引きあげさせるんだ。」
楓
「わかった……!」
アルフィノ
「私は、潜入部隊と合流した後、すぐに君たちの後を追う。
ヒルダたちに連絡をつけて、脱出路も確保しておくつもりだ。
ここからは、迅速な行動が物を言う……頼んだぞ!」
楓
「アルフィノ君、気を付けてね!」
アルフィノは秘密坑道へ、楓はバエサルの長城へと向かった。
次回へ続く……。